2026.10.10製造業のシステム導入で失敗しないために|種類・選び方・事例を解説

実際の導入事例3選は必見!
この記事では、製造業のシステム導入で期待できる効果や、自社に合ったシステムを選ぶための5つのポイントを解説しています。
生産管理・販売管理・在庫管理・ERPなど、「違いがわからない」「どれを選べばいいかわからない」とお困りの方は、ぜひ参考にしてください。
製造業で使われるシステムとは?まずは種類を整理

利用されるシステムは一つではありません。
まずは、製造業で使われる代表的なシステムの種類と、その役割を整理していきましょう。
生産管理システム
「何を・いつまでに・どれだけ・どのように生産するか」を管理するシステムです。
生産計画をはじめ、製造指示や工程・進捗、所要量、製造実績などを管理し、納期や在庫を考慮しながら生産活動をコントロールします。
ただし、受注生産や見込生産、個別生産、繰返生産など、生産形態によって必要な機能は異なるため、自社の製造方法に合った仕組みを選ぶことが重要です。
販売管理システム
販売管理システムは、見積・受注から売上、請求、入金までの販売業務を管理します。
製造業では、顧客からの受注情報が生産計画や在庫、出荷などの業務につながるため、販売管理と生産管理の連携も重要になります。
また、得意先別の単価や締め日、請求条件、内示・確定受注など、企業独自の取引ルールに対応できるかも確認したいポイントです。
購買・在庫管理システム
購買・在庫管理システムでは、製造に必要な原材料や部品の発注・仕入と、在庫の入出庫や残数などを管理します。
必要な材料が不足すれば生産に影響する一方、過剰な仕入れは余剰在庫につながることも。
そのため、受注状況や生産計画、現在庫を踏まえた適切な購買・在庫管理が重要です。
業種によっては、倉庫・拠点別、ロット別など、より細かな管理も求められます。
原価管理システム
原価管理システムは、製品を製造するためにかかった材料費・労務費・経費などを把握し、製造原価を管理するシステムです。
製品別・品目別などで原価を把握することで、採算管理や適切な価格設定、コスト改善などに活用できます。
また、予定原価と実際原価の差異を分析することで、「どの製品・工程で想定以上のコストが発生しているのか」を把握し、改善につなげることも可能です。
ERP・基幹システム
販売・購買・在庫・生産・会計など、企業活動に関わる幅広い情報を連携・統合して管理するための仕組みを指します。
部門ごとにシステムが分かれていると、データの二重入力やExcelへの転記などが発生することもあり、情報を連携・統合することで、こうした作業の削減や全社的なデータ活用につなげられます。
構築手法には、全業務を1システムに統合する形態のほか、必要な機能を複数システムで組み合わせる形態(ベストオブブリード)があります。
製造業へのシステム導入で期待できる効果

製造業にシステムを導入することで、単に紙やExcelをデジタル化するだけでなく、受注・生産・購買・在庫・出荷などの情報をつなぎ、業務全体を効率化しやすくなります。
ここでは、製造業がシステムを導入することで期待できる代表的な効果を紹介します。
受注から生産・出荷までの情報を一元管理できる
製造業では、需要予測や販売計画、内示、顧客からの受注を起点に、生産計画、原材料・部品の調達、製造、在庫、出荷へと業務が連続しています。
これらの情報をシステム上で一元的に管理・連携することで、各工程で必要な情報を確認しやすくなり、部門間でのデータの受け渡しもスムーズに。
「受注は販売部門、生産計画は製造部門、在庫は倉庫」と情報が分散している状態を見直し、受注から出荷まで一連の流れを把握しやすくなることが大きなメリットです。
二重入力やExcelによる手作業を削減できる
部門ごとに異なるシステムやExcelを利用していると、
・同じ情報を何度も入力してしまう
・データを転記、集計したりする作業が発生する
ということにお困りの方も多いのではないでしょうか。
システム間でデータを連携したり、一つのシステムで情報を管理したりすることで、こうした手作業を削減できるのは嬉しい効果の一つです。
業務効率化だけでなく、転記・入力ミスの防止にもつながり、担当者が確認や集計に費やしていた時間を、より重要な業務へ充てやすくなります。
在庫・生産進捗を可視化できる
システムを活用することで、製品・原材料の在庫状況や、生産計画・製番に対する実績・進捗などを把握しやすくなります。
必要な情報を関係部門で共有できれば、「現在庫はいくつあるのか」「どこまで製造が進んでいるのか」といった確認のために、担当者へ個別に問い合わせる手間も減らせることがポイント。
情報をタイムリーに確認できる環境を整えることで、納期回答や発注、生産計画の見直しなどに必要な判断もしやすくなります。
業務の標準化・属人化の解消につながる
製造業では、長年の経験を持つ担当者の判断や、個人で作成したExcelに業務が依存しているケースも少なくありません。
業務フローや管理方法を整理してシステム化することで、「誰が、いつ、何をするのか」を明確にし、一定のルールに沿って業務を進めやすくなります。
担当者しか分からない作業や判断を減らすことは、属人化の解消だけでなく、引き継ぎや人材育成を行いやすい業務体制づくりにもつながります。
蓄積したデータを経営判断やDXに活用できる
システム導入によって蓄積された受注・売上・在庫・生産・原価などのデータは、日々の業務管理だけでなく、経営判断にも活用できます。
例えば、BIツールと連携して売上や生産実績を分析したり、製品別の採算性や在庫の傾向を把握したりすることも可能です。
さらに、データを継続的に蓄積・統合できる環境を整えておくことは、将来的な業務のDXやAI活用を進めるうえでの基盤にもなります。
要注意!「業種」だけで選んではいけない

同業種での導入実績だけでなく、自社の事業や業務特性に合った仕組みかどうかを見極めることが重要です。
生産形態や品種・生産量だけでなく、BtoB・BtoCといった取引形態、企業規模、拠点数、海外利用の有無、業務フローや管理方法などによって、システムに求められる機能は大きく異なります。
自社に合ったシステムを選ぶためには、「何を製造しているか」だけでなく、どのように受注し、どのように生産・管理しているのかまで整理することが重要です。
受注生産か見込生産か
まず確認したいのが、「何を起点に生産するのか」です。
受注生産では、顧客からの注文を起点に製造するため、受注ごとの納期や進捗、原価などの管理が重要になります。
一方、見込生産では需要を予測してあらかじめ製品を生産するため、需要予測や在庫、生産計画の精度がより重要です。
同じ製品を扱う企業でも、生産方式が違えばシステムに求める機能も変わることを認識しておきましょう。
個別生産か繰返生産か
製品をどのような単位で製造・管理するかも重要です。
個別生産では、顧客の仕様に合わせて製造するケースも多く、案件や製番単位で工程・進捗・原価などを管理できる仕組みが求められます。
一方、同じ製品を継続的に製造する繰り返し生産では、製品ごとの生産計画や製造実績、在庫などを効率よく管理することが重要です。
自社がどの単位で製造を管理しているのかまで確認し、必要な機能を整理しましょう。
多品種少量生産か少品種大量生産か
取り扱う品目数や生産量によっても、適したシステムは異なります。
多品種少量生産では、多数の品目や頻繁に変わる生産計画、ロットなどを柔軟に管理できる仕組みが重要です。
一方、少品種大量生産では、同一製品を安定して生産するための計画や在庫管理に加え、生産効率を把握・改善できる仕組みが求められます。
「製造業向け」という括りだけではなく、自社の品種・生産量に適した管理ができるかまで確認することを意識しましょう。
自社特有の業務・管理ルールがあるか
意外と見落としがちなのがこのポイント。
生産形態だけでなく、自社特有の業務や管理ルールも整理しておきましょう。
例えば、独自の製造工程や管理単位、専用帳票、取引先ごとの対応、ロット・シリアル単位のトレーサビリティなど、企業によって必要な要件はさまざまです。
こうした独自要件が多い場合、パッケージの標準機能だけでは対応できない可能性もあります。
そのため、標準機能に業務を合わせる部分と、自社独自の仕組みとして残す部分を切り分けることが、システム選定では重要になります。
失敗しない製造業向けシステムの選び方5選

製造業向けシステムは、搭載されている機能や価格だけで選べばよいわけではありません。
重要なのは、自社の業務や課題を整理したうえで、必要な機能・システム化する範囲を明確にし、それに適した製品や導入方法を選ぶことです。
ここでは、システム選定で失敗しないために確認したい5つのポイントを解説します。
1.自社の業務範囲と課題を整理する
最初から製品の比較を始めるのではなく、まずは現在の業務と課題を整理しましょう。
例えば、
「Excelによる生産計画に時間がかかる」
「受注情報を生産管理システムへ再入力している」
など、現場で発生している問題を具体的に洗い出します。
そのうえで、単に現状をシステム化するのではなく、「何を改善し、どのような状態を実現したいのか」まで明確にすることが重要です。
2.必要な機能とシステム化する範囲を決める
製造業の業務は、生産だけでなく、販売・購買・在庫・原価・会計など、さまざまな領域につながっています。
そのため、「生産管理システムを導入する」といった製品単位の考え方だけではなく、どの業務までをシステム化するのかを整理することが大切です。
例えば、受注から生産、購買、在庫、出荷までを一つの仕組みで管理するのか、
既存の販売・会計システムを残して連携するのかによって、選ぶべきシステムも変わります。
3.標準機能とカスタマイズの範囲を確認する
自社の業務をすべてそのまま再現しようとすると、カスタマイズが増え、開発費や保守費が膨らむ可能性があります。
そこで検討したいのが、パッケージの標準機能に業務を合わせる「Fit to Standard」の考え方です。
一方で、独自の製造工程や管理手法など、自社の競争力の源泉となる業務まで無理に標準化する必要はありません。
「Fit to Standardを基本方針とした導入事例」は、下記の記事でも紹介しています。
スポーツ用品メーカーの事例からご確認ください。
4.周辺システムとの連携性・拡張性を確認する
新しいシステムだけを見るのではなく、周辺システムとの連携性も確認しましょう。
製造業では、会計システムやEDI、BIツールのほか、設備や製造現場で使用するシステムなど、さまざまな仕組みとデータをやり取りする場合があります。
APIやCSVなど、どのような方法で連携できるのかまで確認しておけば、導入後に手入力やデータ転記が残るリスクを抑えられることも。
また、拠点追加や事業拡大、IoT・AI活用など、将来的にシステムの利用範囲が広がることも想定して拡張性を確認しておくことが大切です。
5.導入後まで支援できるベンダーを選ぶ
システムだけでなく、「誰と導入を進めるのか」も重要なポイントです。
特に、自社だけで要件を整理することが難しい場合は、製品を提供するだけでなく、現状業務の整理や要件定義、データ移行、テスト、本稼働まで一貫して支援できるベンダーを選ぶとよいでしょう。
さらに、システムは導入して終わりではありません。稼働後に新たな課題が見つかったり、事業の変化に応じて改善が必要になったりすることもあります。
そのため、導入実績や製造業への理解に加え、本稼働後の運用・改善まで継続して相談できる体制があるかも確認しておきましょう。
実際の導入事例と効果はこちら
A社:管理レベルを段階的に整えることに成功
・背景と課題
A社は、電力関連の製造業です。
課題になっていたのは、製造に関わる情報を部門ごとに管理するのではなく、部門間を横断して連携させ、全体最適を図ること。
また、設計・製造に必要なE-BOMとM-BOM、MRPを効率的に運用・共有するとともに、工程ごとの原価や仕掛原価を把握できる仕組みも必要でした。
さらに、資材の予測をはじめとした各種業務の効率化も含め、製造全体を見える化し、管理しやすい環境を構築することが求められていました。
・導入内容と成果
そこでA社は、製品構成を直感的に登録・確認できる仕組みを構築し、複雑な製品構成でも階層ごとに分かりやすく管理できるようにしました。既存の製品表をコピーして活用したり、仕様書ファイルとリンクしたりすることも可能です。
工程管理では、導入当初は工程数のみを設定するシンプルな運用から開始し、現場の体制が整った段階で多工程管理へ移行。
各工程の実績を収集することで、工程ごとの原価や製造進捗を詳細に把握できる仕組みへ段階的に発展させています。
これにより、部門をまたいだ情報共有と製造状況の見える化を進めながら、担当者に過度な負担をかけず、段階的に管理レベルを高められる環境を整えた事例です。


B社:複数のシステムを統合して属人化を脱却
・背景と課題
B社では、海外販売・国内販売・生産管理など、業務ごとに複数のシステムを利用しており、業務やデータが分かれていることが課題となっていました。
また、システムごとに異なる運用が存在することで、担当者に依存した属人的な業務も発生していることも悩みの一つに。
そこで、各業務を一気通貫でつなぎ、データを共有できる環境を整えるとともに、業務の標準化とシステムの統合を進めることが求められていました。
・導入内容と成果
このケースでは、業種テンプレート「Progress-One」を活用して業務統合システムを構築。
海外・国内販売管理、生産管理、購買管理、在庫管理、物流管理など、幅広い業務を一つの仕組みに統合しました。
これにより、それまで分かれていた3つのシステムを統合し、業務とデータが一気通貫で流れる環境を実現。システムの豊富な機能を活用することで、属人化していた業務の標準化にもつなげています。
さらに、データベースを公開し、ユーザーが必要なデータを自由に利用できる仕組みを整備しました。
業務を統合するだけでなく、蓄積したデータを活用しやすいシステム基盤を構築した事例です。

C社:「製番対応」でスムーズな管理を実現
・背景と課題
C社は、複合材の製造・販売を行う企業です。
長年運用してきた既存システムは、業務に合わせた個別運用が積み重なり、属人化していることが課題となっていました。
そのため、既存の運用をそのまま新システムへ移行するのではなく、業務そのものを見直し、標準化することを検討。
また、案件ごとの製造状況をより適切に管理するとともに、製品・工程ごとの原価を把握できる仕組みを整えることも求められていました。
・導入内容と成果
C社では、「Empower-X CX」をベースに、標準機能を最大限活用して業務を標準化。
そのうえで、業務上の重要度が高い部分のみアドオン・カスタマイズすることで、従来業務の改悪を防ぎながらシステムを構築しました。
生産管理では「製番対応」の仕組みを追加し、製番(受注番号)ごとに材料の発注・入荷仕入から製造・製造実績、受注・出荷・売上までを管理できるようにしています。
これにより、案件単位での管理が可能となり、生産管理の精度向上につなげました。
さらに、品目マスタに標準原価機能を活用し、品目・工程ごとの原価や、構成マスタをもとに積み上げた原価を管理できる仕組みを整備。業務の標準化に加え、製番管理と原価把握を強化した事例です。

何から検討するのがいい?
このように、「システムの導入」と言っても、課題や最適なソリューションはさまざまです。
重要なのは、どのようなケースでも要件を整理すること。
それによって上記のような、企業の課題に合わせたシステム選定・カスタマイズが可能になります。
そのため、まず最初は「現状業務の流れを整理して可視化」することをおすすめしています。
もし、棚卸し作業が自社では難しいという場合は、弊社のSORD(ソード)というシステム企画・構想支援サービスをご活用ください。
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