2026.08.31システム改善の進め方を解説!よくある課題や導入事例を紹介
#業務システム

システム改善とは、単なる機能追加ではなく、業務やデータの流れまで含めて仕組みを見直す取り組みです。
この記事では、システム改善が必要な5つのサインや成功させる4ステップ、3社の導入事例を紹介。
要件整理の重要性や改善方法の選び方もわかりやすく解説します。
「運用を変えていきたい」と検討されている担当者様は、ぜひ参考にしてください。
システム改善は「単なる機能追加」ではない?違いを解説

「使いづらさ」や「手作業で補完する業務が増えている」など、現在のシステムに課題を感じている企業も多いのではないでしょうか。
システム改善で重要なのは、単に機能を追加するのではなく、現在の業務やデータの流れまで整理し、業務全体をより効率的な仕組みへ見直すことです。
システム改善が求められる背景
導入当初のシステムと現在の業務との「ズレ」を感じたことはないでしょうか。
例えば、
・事業拡大や拠点追加に対応できない
・Excelや紙による補完業務が増えている
・同じ情報を複数のシステムへ入力している
・特定の担当者しか分からない業務がある
・部門ごとにデータが分散している
・DXやAI活用に必要なシステム連携ができない
といった状況です。
システムで対応できない部分を人の作業で補い続けると、業務効率の低下や入力ミス、属人化につながります。
「システムが動いているか」だけではなく、現在の業務に適した仕組みになっているかという視点で見直すことが重要です。
システム改善とシステム改修の違いは範囲にあり
システム改修は、入力項目や帳票の変更、機能追加など、既存システムの特定箇所を変更する取り組みです。
一方、システム改善では「なぜその課題が発生しているのか」まで考えます。
例えば、二重入力が課題であれば、入力画面を使いやすくするだけでなく、システム同士を連携させ、入力そのものをなくす方法も考えられます。
つまり、改修が機能単位の対応であるのに対し、改善は業務全体を見ながら課題の原因を解消する取り組みと認識しましょう。
業務全体で考えたい「システム改善で実現できること」
システム改善によって期待できる代表的な効果には、
・二重入力や手作業の削減による業務効率化
・分散した情報を整理するデータの一元化
・担当者に依存した業務を見直す属人化の解消
・必要な情報を素早く把握することによる意思決定の迅速化
などがあります。
さらに、データやシステム間の連携環境を整えることで、将来的なDXやAI活用にもつなげられます。
システム改善では目の前の使いにくさだけを見るのではなく、「業務全体をどのような状態にしたいのか」から考えることが重要です。
まず確認したい|システム改善が必要なサイン

導入当初は問題なく使えていたシステムでも、事業や業務の変化によって、徐々に現場とのズレが生じることがあります。
ここでは、すでにシステムを導入している企業に向けて、改善を検討したい代表的なサインをご紹介します。
下記5つに当てはまるものがあれば、システムの改善もご検討ください。
1.Excelや手作業が増えている
システムを導入しているにもかかわらず、Excelや紙による管理、手作業での集計が増えている場合は注意が必要です。
「システムでは管理できないからExcelで補う」という運用が積み重なると、入力ミスや確認工数の増加だけでなく、担当者ごとに異なる管理方法が生まれ、属人化につながるリスクも。
Excelや手作業が常態化している場合は、現在の業務とシステムが合っているかを見直すタイミングと言えるでしょう。
2.同じデータを何度も入力している
受注情報を販売管理システムへ入力した後、生産管理や会計システムにも同じ内容を入力するなど、二重・三重入力が発生していないでしょうか。
同じデータを繰り返し入力する運用は、作業時間が増えるだけでなく、入力ミスやシステム間でのデータ不整合を招く原因になります。
システム間の連携やデータの流れを見直すことで、入力そのものを減らせる可能性があります。
3.システム担当者しか仕組みを理解していない
「この処理は○○さんにしか分からない」といった状態も、改善を検討したいサインです。
長年の改修や運用変更によってシステムが複雑化すると、一部の担当者しか仕様や操作方法を理解していない状態になりがちです。
担当者の異動や退職によって業務が止まるリスクも考えられます。
まずは仕組みを整理し、誰でも運用しやすい環境へ改善を検討しましょう。
4.システム同士が連携できていない
部門ごとに異なるシステムを利用し、それぞれが独立している場合も注意が必要です。
販売・生産・在庫・会計などの情報がつながっていなければ、データの転記や確認が必要となり、リアルタイムな情報共有も難しくなります。
個々のシステムに問題がなくても、会社全体で見れば非効率になっている可能性があるため、システム間の連携まで含めて確認しましょう。
5.DXやAI活用が進められていない
「AIやBIを活用したいが、必要なデータを取り出せない」という状態も、既存システムを見直すきっかけの一つです。
DXやAI活用には、データが適切に蓄積され、必要に応じて他のシステムやツールと連携できる環境が欠かせません。
現在は業務を問題なく処理できていても、データ活用や外部連携が難しい状態になっていないでしょうか。
これらのサインが複数当てはまる場合、個別の機能追加だけでは根本的な解決にならない可能性があります。業務・システム・データの現状を整理したうえで、どこから改善すべきかを検討することが重要です。
必見!システム改善を成功させる4ステップ

システム改善では、目の前の不具合や現場の要望だけをもとに改修を進めると、部分最適になってしまう可能性があります。
重要なのは、「何を改善するのか」「将来どのような状態を目指すのか」を明確にすること。
下記の4ステップを参考に、成功までのロードマップをイメージするのがおすすめです。
◾️要点はこちら
1.現状業務の可視化
2.課題と改善目標の整理
3.改善方法の選択
4.将来構想まで含めた検討
◾️詳細はこちら
1.現状業務を可視化する
最初に行いたいのが、現在の業務とシステムの可視化です。
業務フローやシステム構成だけでなく、「どこでデータを入力し、どのシステムへ連携され、最終的にどのように利用されているのか」までを整理。
特に、Excelへの転記や紙での承認など、システム外で行われている作業は改善ポイントになりやすい部分です。
現場へのヒアリングも行いながら、システム上の想定ではなく「実際の業務」を把握することが重要と言えます。
2.課題と改善目標を整理する
現状を把握できたら、課題を洗い出し、優先順位をつけます。
ここで重要なのは、「使いにくい」「時間がかかる」といった曖昧な課題で終わらせないことです。
例えば、「受注情報の二重入力をなくす」「月次集計にかかる時間を50%削減する」など、可能な範囲で具体的な目標を設定します。
改善前後を比較できる指標を決めておけば、システム改善によってどれだけ成果が得られたのかも評価しやすくなるのがポイントです。
3.改善方法を選択する
システム改善には、必ずしも大規模な刷新が必要なわけではありません。
小さな課題であれば既存システムへの機能追加で解決できる場合があります。
一方、データが複数のシステムに分散しているのであればシステム連携、既存システムそのものが業務に合わなくなっているのであればパッケージ導入やコンバージョンなども選択肢です。
つまり、課題によって最適な改善方法は異なります。
「既存システムを残すこと」を前提にするのではなく、費用や導入期間、既存資産、業務への影響などを比較しながら、最も効果の高い方法を検討しましょう。
コンバージョンのリプレイス・リビルドなどの違いはこちらをご覧ください

4.将来構想まで含めて検討する
最後に確認したいのが、「今回の改善によって、将来やりたいことを妨げないか」という点です。
例えば、今後DXやAIを活用するのであれば、データを蓄積・連携しやすい構造が必要に。
クラウドサービスや外部システムとの連携、事業拡大や拠点追加などを想定している場合も、それらに対応できる拡張性を確認しておきましょう。
現在の課題だけに最適化すると、数年後に再び大規模な改修が必要になる可能性があります。
すべてを一度に実現する必要はありませんが、「今何を改善するか」と「将来どこを目指すか」をセットで考えることが、長期的に活用できるシステム改善につながります。
実際の導入事例と効果はこちら
それでは実際に、自動車・金属処理・コンサルティング業の導入事例をご紹介します。
①自動車用品製造業

・背景と課題
自動車用品を製造するA社では、システム改善にあたり、単に既存システムの機能を見直すのではなく、経営戦略や事業計画とシステムを結びつけた改善を目指していました。
そのために必要だったのが、現状の業務やシステムを可視化し、「どこに課題があるのか」「改善によってどのような効果を得たいのか」を明確にすることです。
また、一度システムを刷新して終わりにするのではなく、事業環境の変化に合わせて継続的に改善できる仕組みづくりも重要なテーマでした。
・導入内容と成果
そこでA社では、まず業務の見える化を行い、業務課題を抽出。業務・システムの現状を整理したうえで、経営戦略・計画を軸にプロジェクトのゴールと改善目標を設定しました。
さらに、現状と目指すべき業務・システムの姿を比較し、必要となるシステム機能や導入効果を整理。こうした構想をもとに、新たな基幹システムの導入へとつなげています。
ポイントは、「システムありき」で改善を進めるのではなく、経営戦略から業務課題、システム要件までを一貫して整理したことです。
また、導入後も改善効果を検証し、継続的にPDCAを回せる仕組み・基盤を構築。目の前の課題を解消するだけではなく、経営や事業の変化に合わせてシステムも継続的に改善していける環境づくりにつなげています。
②金属処理業

・背景と課題
金属処理業を営むB社では、単に既存システムを入れ替えるのではなく、働きやすい少数精鋭の組織づくりにつながるシステム改善を目指していました。
そのためには、システムだけを見るのではなく、現在の業務プロセスや課題、経営上の方向性まで含めて整理することが必要でした。特に、業務やシステムが分断された状態では、モノ・カネの動きを一連の流れとして捉えにくく、データの確認や活用にも時間がかかります。
そこで、経営戦略や事業上の課題を起点として、業務・システムの現状を可視化し、「何を改善し、どのような状態を目指すのか」を企画段階から明確にすることが重要なテーマとなっていました。
・導入内容と成果
B社では、企画・要求定義の段階から伴走し、まず経営・業務・システムの3つの観点から現状を整理しました。
経営面では、自社の方向性や事業上の課題を整理するとともに、前提条件・制約、顧客・仕入先との関係、参入環境や関連法令なども確認。これらを踏まえて、プロジェクトのゴールや改善によって目指す姿を設定しました。
業務面では、現状の可視化や業務プロセス分析、課題分析を実施し、改善施策や新たな業務要件を具体化。システム面では、既存機能の調査を行ったうえで、必要機能や改善機能、システム要求、非機能要件を整理しています。
そのうえで、ベンダー選定、要件定義、設計・開発、インフラ構築、テスト・移行、本稼働までを段階的に推進。機能統合と業務プロセスの見直しによって、日次でのデータ可視化を実現し、必要な情報をリアルタイムでも確認できる環境を整備しました。
さらに、モノとカネの動きを一気通貫で捉えられる仕組みとすることで、データの正確性向上にもつなげています。
導入後についても、運用改善や効果測定を継続することを前提とし、将来的なグループ展開やIoT・AI活用まで見据えた改善基盤を構築。目先の機能追加ではなく、経営・業務・システムを一体で捉えながら継続的に改善できる環境を整えた事例となっています。
③コンサルティング業

・背景と課題
コンサルティング業を営むC社では、2005年に構築した基幹システムの老朽化が進み、現在の業務とシステム機能が合わなくなっていることが課題となっていました。
特に、SFAと基幹システムが分離していたことで二重入力や管理負荷が発生し、情報資産も社内に十分蓄積されない状態に。加えて、一部拠点ではExcel管理が残っており、経営判断に必要なKPIデータを安定して確保しづらいことも問題となっていました。
また、将来的なグループ展開を見据えた際に、現行の仕組みでは長期利用や会社ID対応、多言語・商習慣・税制への対応などに不安があり、事業拡大に耐えられるシステム基盤の構想も必要でした。
・導入内容と成果
そこでC社では、いきなり製品選定や開発に進むのではなく、約20週間をかけて構想・要件整理を実施しました。
キックオフとゴール設定から始め、事業・業務構造の整理、業務量調査、業務分析、現行システムの利用状況確認、対象業務の絞り込み、現行業務フローの作成、課題形成、新システム機能の検討、新業務フローの設計、効果測定、RFP作成までを段階的に進めています。
その過程で、業務ルールやプロセスそのものを見直し、重複作業の排除や全社統一オペレーションを目指すBPRを実施。SFAは営業支援に特化し、基幹システムは受注後の業務やKPI管理、会計連携を担うなど、各システムの役割も明確化しました。
さらに、Excelやサブシステムに残っていた属人業務の削減、過去データの移行、データベースの分割と活用、KPI管理の一元化など、情報資産を継続的に活用できる構想を整理しています。
これにより、目先のシステム刷新だけでなく、業務を整理した無駄の少ないシンプルな仕組みと、将来のグループ展開にも対応できる長期利用可能なシステム基盤の方向性を明確にした事例となっています。
成功事例に共通しているのは要件整理
ここまでの3社の事例からも分かるように、システム改善によって得られる効果は、単なる操作性の向上や機能追加だけではありません。
例えば、
・重複入力やExcel管理の削減
・業務プロセスの標準化
・データの一元管理と正確性向上
・属人化の解消
・将来の事業拡大やDX・AI活用への対応
など、経営・業務・システムなどの幅広い領域に効果を広げることができます。
一方で、こうした成果は「新しいシステムを導入すれば自然に得られる」というものではありません。
3社に共通しているのは、システム選定や開発に入る前に、現在の業務やシステム、データの流れを整理し、何を改善し、どのような状態を目指すのかを明確にしていることです。
要件整理が不十分なまま進めてしまうと、必要のない機能を追加したり、既存の非効率な業務をそのままシステム化したりする可能性があります。
その結果、改善したはずなのに二重入力や属人化が残る、といった事態にもなりかねません。
だからこそ、システム改善では「どの製品を導入するか」より先に、経営・業務・システムの3つの観点から要件を整理することが最も重要です。
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